目次 AIで60%の仕事が無くなります。AIの分野別ランキングでAIを効率よく使えるようにしましょう。
第1章 今すぐ役立つAIについての分野別ランキング
第2章 体型と似合う洋服の色を色別に分類
第3章 忍びよる感染症の恐怖、隕石落下対策
第4章 免疫力UP! お笑いブログ【猫と犬の日々】
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第1章 今すぐ役立つAIについてのブログ
【用途別のAIの順位】 次々新しいAIが出現しますが、新しいAIが出るたびに、使ってみて良いものなら順位変更して記載しています。https://youtu.be/ABRawOFOZCY
●プログラムを作成 AI
1位 GitHub,OpenAI
2位 AmazonCodeWhisperer
●事業計画作成AI
1位 BIZLY.AIAI
2位 free創業融資
3位 経営計画つくるくん
●イラスト
1位 Midjourney
2位 Stable Diffusion,DALL-E2
3位 AdobeFirefly
●絵画生成
1位 Midjourney, Stable Diffusion
2位 DALL-E2, Adobe Firefly
3位 SeeArt
●名刺
1位 Canva
2位 Taziku
●文章作成AI
1位 ChatGPT4
2位 JasperAI, Copy.ai
3位 Rytr
1位 Canva
2位 Designs AI , Adobe Firefly
3位 Fotor
1位 Suno
2位 Soundraw
3位 AIVA ,
●ナレーションAI
1位 VoxBox
2位 invideo
3位 かんたん!AITalk3 , CeVIO AI
●動画生成AI
1位 HeyGen , Synthesia
2位 FlexClip , Runway Gen-2
3位 Pictory
●短編動画作成AI
1位 Runway Gen-2 , Pika Labs
2位 InVideo
3位 Lumen5
●会議録自動作成ツール
1位 AI議事録取れる君
2位 Notta,
●学習AI
1位 TensorFlow , PyTorch
2位 Scikit-learn , Keras
3位 H2O.ai
●プレゼン作成AI,パワポ資料作成
1位 イルシル
2位 Slides GPT
3位 Gamma
●Webサイト生成
1位 Wix ADI
2位 Bookmark , Zyro
●スライド作成AI
1位 Gamma , Canva
2位 イルシル
●アバダー作成AI
1位 HeyGen ダントツ!
2位 Canva, Fotor
●画像生成AI
1位 LeonardoAI,Recraftプラットホーム
2位 AIGAZOU , DALL-E2
3位 MidJourney
●ゲーム作成
1位 Scenario
2位 FRVR
3位 Rosebud AI , Websim.ai
●2Dの画像生成AI
1位 DALL-E2
2位 MidJourney
●3Dの画像生成AI
1位 Lucid Dreamer
2位 Doodle Your 3D
3位 Shap-E
●ロゴ生成AI
1位 Canva
2位 Renderforest
3位 Fotor
1位 Wonder Studio
2位 Adobe Firefly
3位 Lucid Dreamer 、Doodle Your 3D , Canva
●書類データ整理
1位 Microsoft SharePoint
2位 Google Workspace , DocuWare
●アプリの問題解決AI
1位 EdrawMind
2位 Notion , Adobe Scan
1位 Prediction one
2位 xenoBrain , NEC予測分析自動化技術
●人工知能作成AI
1位 AutoML , H2O.ai
2位 DataRobot
3位 Azure Machine Learning
●台本作成AIツール
1位 かけAIシナリオライター
2位 ChatGptプロンプト
3位 Catchy
●文字起こしAIツール
1位 Otter.ai , Google Cloud Speech-to-Text
2位 AmiVoice
3位 Deepgram
●アイデアを出す
1位 ChatGPT
2位 Catchy
3位 AIひらめきメーカー 、Noyion
●ブログ特化
1位 Blog Creator
2位 Emma Tools ., Rakurin
3位 AI Writer
●コーディングAIツール
1位 Amazon Codewhisperer
2位 Github copilot
3位 Tabnine , Codeium , Replit GhostWriter
●AI×AI(完全自律型エージェント)に優れたAI
1位 AgentGPT
2位 SalesforceのAgentforce
3位 OpenAIのOperator
●フリー画像素材
1位 ぱくたそ 、AI ArtStock
2位 Loose Drawing
●マンガ制作AIツール
1位 SkyReels
2位 Anifusion
3位 OctoComics , Comic AI Generator
●コピー文章
1位 Copy.ai
2位 Jasper
●PDFファイルの管理や編集ツール
1位 Adobe Acrobat Reader
2位 iLovePDF
●図解・資料生成AI
1位 NapkinAI
●AIアプリ開発プラットホーム
1位 Dify , Langchain , Microsoft Power Platform
●デジタルアシスタントAI
1位 Amazon Alexa , Google Assistant , Apple Siri
2位 Microsoft Cortana , Salesforce Einstein
●賢いAI
自然言語処理 ChatGPT , Google Assistant
画像認識 DeepMind , DeepFace
機械学習 SageMaker , Azure Machine Learning
深層学習 GPT-4 , BERT
自立エージェント BostonDynamicsのロボット 、Teslaの自動運転システム
●変化用音声
1位 Voice Engine , Google Text-to-Speech
2位 ReadSpeaker , ALTalk , Murf.ai
●アプリ開発・生成AI
1位 Dify , Langchain
2位 Microsoft Power Platform , Google Vertex AI
●コーデイング
1位 GitHub Copilot , Amazon CodeWhisperer
2位 TabNine , Code Llama
●音声会話AI
1位 AmazonAlexa 、Google Assistant
2位 Apple Siri , Cotomo
3位 ChatGPT with Voice
●マインドマップツールAI
1位 Mapify と EdrawMind
第2章 体型と似合う洋服の色を色別に分類
★体型と似合う洋服の色を色別に分類し、簡潔にまとめました。それぞれの色ごとに、どの体型に合いやすいかを花序湯がき(つまり、色と体型の相性を分類すること)しています。
1. ホワイト・ベージュ系
- 特徴: 清潔感があり、柔らかい印象を与える。
- 似合う体型:
- 細身・小柄: 全体をスッキリと見せ、透明感を引き出す。
- ぽっちゃり: ベージュを選ぶと柔らかさをプラス。
- アドバイス: トーンの濃淡で顔色に合わせる。
2. ブラック・ダーク系
- 特徴: スタイリッシュで引き締め効果がある。
- 似合う体型:
- ぽっちゃり: 細見え効果が高い。
- 高身長: クールな雰囲気を強調。
- アドバイス: 黒一色は重く見える場合、アクセントを追加。
3. ピンク・パステル系
- 特徴: フェミニンで柔らかい印象。
- 似合う体型:
- 小柄・華奢: 可愛らしさが増す。
- 肩幅広め: 明るいピンクで優しさを演出。
- アドバイス: 顔周りに配置すると透明感アップ。
4. レッド・オレンジ系
- 特徴: エネルギッシュで華やかな印象。
- 似合う体型:
- ぽっちゃり: ビビッドな赤で存在感を引き立てる。
- 細身: 明るいオレンジで健康的な印象を。
- アドバイス: 色の明るさで肌色を補完。
5. ブルー・グリーン系
- 特徴: 知的・爽やかで落ち着いた印象。
- 似合う体型:
- 長身・華奢: 深いブルーでエレガントさを。
- 肩幅広め: グリーンでバランスを。
- アドバイス: パステル調なら若々しい印象に。
6. イエロー・マスタード系
- 特徴: 明るくポジティブな印象。
- 似合う体型:
- 小柄: 優しいイエローで親しみやすく。
- ぽっちゃり: マスタード色でおしゃれな雰囲気。
- アドバイス: 顔色に合うトーンを選ぶ。
7. グレー・モノトーン系
- 特徴: 落ち着きと品の良さを演出。
- 似合う体型:
- ぽっちゃり: 中間色で柔らかさを。
- 高身長: シャープな印象が強まる。
- アドバイス: ライトグレーは柔らかい印象に。
8. パープル・ラベンダー系
- 特徴: 神秘的でエレガントな印象。
- 似合う体型:
- 華奢: 深い紫で気品を。
- ぽっちゃり: ラベンダーで軽やかさを。
- アドバイス: トーン選びで落ち着きや柔らかさを調整。
体型と洋服の色選びは、色の明度や彩度が重要です。また、顔色や髪色にも合わせて微調整することで、さらに似合うコーディネートが楽しめます!
☆動画リンクでちょっとコーヒータイム
・【忍び寄るエムポックス(サル痘)】
WHO(世界保健機関)が、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言。今回流行のウイルスは以前と比べ病原性強い。
エムポックスとは?
感染経路
エムポックスは、感染した動物や人との接触によって広がります。具体的には、以下のような経路があります12:
- 感染した動物(リスやサルなど)との接触
- 感染者の皮膚病変や体液、血液との接触
- 長時間の対面での飛沫感染
- 感染者が使用した寝具などとの接触
症状
エムポックスの主な症状には、以下のようなものがあります12:
- 発熱
- 頭痛
- リンパ節の腫れ
- 発疹(顔や四肢に多く見られ、水疱や膿疱に進行する)
症状は通常2~4週間続きますが、重症化することもあります。
予防と治療
予防には、天然痘ワクチンが有効とされています。治療は主に対症療法が中心で、特定の治療薬はまだ広く利用されていません。
急増狂暴化するウイルス・細菌に対する最善の対策は「免疫力を高める」こと
☆面白い写真館題「おっと落ちそうな猫」
☆隕石について
2025年7月5日午前4時18分に、巷では隕石が落下するという噂がありますが、どこの組織も公式発表をしていませんから、心配はいりません。しかし、アカシックレコードにアクセスした人が、警告のデザインを公開しています。これを見て心配な人は、地下に逃げるといいでしょうが、それでも心配だという人には、吉備高原や南アルプス麓、長野高原地帯に行くことをおすすめ。その頃、私はお煎餅を片手にテレビの実況放送で、隕石が地球にぶつかるまでの実況放送に見入っていることでしょう。下の犬の写真のように何もしな~い。ごろ~ん。ばいば~い!
第4章 免疫力UP! お笑いブログ【猫と犬の日々】
【その1】犬を枕にして寝る猫ある日、犬田小太郎という雄犬の前に突然猫が出現した。この猫は、19匹の捨て猫のうちの1匹だった。19匹の捨て猫を拾ったMさんが、小太郎の飼い主のKにプレゼントした雌猫なのである。猫田カイと名付けられた子猫は、小太郎と共に育てられた。猫田カイは、三毛の勝気な美猫だった。毎日小太郎を枕代わりにして寝ていた。小太郎を枕にして寝るカイを見たMさんは
「もしも、小太郎が寝ぼけてカイに噛みついたらどうするの。私の大事なカイが、けがしたらどうするのよ。」
と言った後、家を飛び出した。やがて、手に犬の形の枕を抱えて戻ってきた。
唖然としているKを後に、満足げな表情を浮かべたMは悠々と去っていった。Mは、非常に心優しい良い人である。
だが、現実はMの思いと違っていた。カイは、小太郎が身動きするたびに怒って、引っ掻いていたのである。小太郎の背中は傷だらけなのである。
「キャンキャン」
という悲し気な声が夜な夜な響くが、猫を噛むことは全くなかったのだ。
人間社会のみならず、女性が強くなったのは、犬猫の社会でも言えるようである。(やれやれ)
【その2】猫のボーイフレンド
ある日、猫田カイがボーイフレンドを連れてきた。まん丸の黒猫のCちゃんだった。その黒猫は5匹の兄弟のうちの1匹だった。5匹生まれた内、あーちゃん1匹のみ生家で飼われ、他の4匹は捨てられ野良猫となっていた。5匹は、あーちゃん、いーちゃん、うーちゃん、えーちゃん、おーちゃんと呼ばれていた。えーとおーは行方不明いーちゃんは保護されてポスターに載っていた。うーちゃんは、非常に行儀のよい猫だった。毎日Kの家のベランダの上で餌をくれるのを待った。雨でも雪でも常に同じ場所で、キチンとお座りして待ち続けていた。それを見た皆は口々に
「忠犬ハチ公みたいだね。」
と、言った。だが、あーちゃんは、あ」アダクソあーちゃん」と呼ばれていた。人に可愛がられても必ずアダクソをして返したからだ。例えば、餌をやれば植木鉢をひっくり返して割らす。頭をなでれば、尻に噛みつく。とにかく、アダクソで返すのだ。
Kは、かイの選んだ相手がうーちゃんでほっと胸をなでおろしたのだった。
猫でも人間でも親が同じなのに、随分違いがあるものである。(やれやれ)
【その3】三つ巴の勢力争い
猫田カイと犬田小太郎とKの主人Oが、またまた座椅子取り合戦を始めた。代わる代わる座椅子が空くと、すぐ駆け寄り座った。三つ巴の闘いである。小太郎は、Kの主人Oに追い払われ、しぶしぶ座を明け渡すが、カイはそうはいかない。引っ掻く、凄い声で脅かす、座り込むなど凄まじい。座椅子の前は、座布団を取り合いしていた。その後は、揺り椅子だった。(上の写真のように、最後はカイの勝ち)丁度テレビで、ブラインドを閉めようとする人と、開こうとする外国の猫の格闘画面が出た。やはり、猫の勝ちだった。ちなみに、我が家で1番温かい居心地のいい場所には、猫田カイが陣取っている。
猫でも人間でも、自分の思い通りに事をなそうとするのは同じ。日本でも外国でも違いがないようである。(やれやれ)
【その4】おこぼれ
小太郎は、病気にかかり治療薬の入った餌を毎日食べていた。しかし、まずい。とても食べられたものではない。空腹をこらえ切れなくなって、初めて口を付け始めるような代物だった。その横で猫田カイが美味しそうに猫餌を食べるのを、いつもうらやましそうに見ていた。ある日、猫の留守に猫餌を食べてみた。とても美味しかったとみえて、ペロリと平らげた。そこに猫が帰ってきたから、さあ大変!からになった餌箱と小太郎の顔を見比べて、小太郎の口髭についた猫餌に気付いた。
「ハアーギャオ―。」
という鳴き声と共に、鋭い爪をむき出して引っ掻いた。あわれ小太郎の鼻から血がタラリと流れ落ちた。小太郎は、シーズー犬なので大きな大きな鼻が、堂々とど真ん中に付いている。いつも気に入らないことがあると、狙われるのはこの鼻なのである。
しかたがないので、Kは猫餌をテーブルの上に置くことにした。しかし、猫がまき散らし落ちてくる猫餌を、テーブルの下でじっと待ち望む小太郎の姿があった。
滅多に餌は落ちてこないのだが、チャンスを待ち続ける姿がより哀れを誘う。
犬でも人間でもチャンスというものは、滅多にやってこない。しかし、それを待ち望むのは皆同じ。さあ、今年も年末ジャンボが待っている。(やれやれ)
【その5】我が家の大掃除
大掃除で、犬猫は大活躍。猫田カイはルンバに乗り放題。犬田小太郎は、ルンバを見て攻撃開始。
すす払いをすれば、カイは喜んでじゃれつき、小太郎は吠えたてる。
磨き終わった後の床に犬猫の泥だらけの足跡が続く。
窓を拭いていると、向こう側で猫田カイの手が雑巾を捕まえようと動く。犬田小太郎は、怪しいものと警戒心をあらわにする。
レンジを掃除すれば、いつの間にか中に猫田カイ。犬田小太郎はバケツの水をひっくり返す。床は、びしゃぬれ。主人Oはスッテンコロリン。私のせいじゃない。
柱をふけば、カイは裏側で爪とぎ。小太郎は、おしっこを引っ掻けそうなポーズ。
トイレ掃除をすれば、2匹がん首を揃えて覗き込む。
風呂掃除の終わった後に、湯舟に入る猫。犬は脱衣所で大はしゃぎ。
「ああ、もうやーめた。」
はじめからやらなきゃ良かった大掃除。
大掃除の嫌いな人の必需品は、犬と猫。言い訳ができるから。(やれやれ、すったもんだで今年も暮れる)
【その6】我が家は全て自動ドア
猫田カイに開けられない戸はない。ガラス戸、ふすま、ドアどんなものでも、器用に開ける。だが閉めることはない。ある日、Kが前庭を見るとベランダの戸の前に、まさにガラス戸を開けようとするカイの姿があった。Kに気が付いたカイは、
「ニャーニャー。」
と、可愛らしく鳴いた。それで、よせばいいのにKは、ガラス戸を開けてしまった。この日を境に、カイは家中の戸の前で、
「ニャーニャー。」(開けろ開けろ)
と、合図するようになった。Kは後悔したが、後の祭り。深夜でも、戸を開ける為にだけ、起きるはめになった。我が家は、全て昼夜をとわず、全自動ドアとなったのである。落ちた毛の始末、泥足跡の掃除、餌やり、寝床の準備、雨降りは濡れた体を拭いてやる・・・沢山ある犬猫の世話に、もう一つ加わったのである。手を抜ける世話はない。結局手を抜くのは、旦那の世話となった。
「何、そんなことぐらい自分でやってよ・・・」
と、言う日々が続くようになった。
ご主人の世話が煩わしいと思うあなたに、犬猫を飼うことをお勧めする。ご主人の世話の手抜きの言い訳ができるから。(奥さんにかまってもらいたいあなたへ。犬猫に生れなおすことですなあ。)
【その7】猫の恩返し
カイは、鰹節が大好き。Kは毎日毎日、何度も鰹節をえさの上に振りかけた。カイは満足そうな表情を浮かべた。ある真夜中
「ニャーニャー。」
と、泣いてKをたたき起こした。カイの足元には、小さなネズミが置かれていた。
「ギャー。」
と、Kは悲鳴をあげた。カイを怒鳴りながらネズミの死体を埋葬したのだった。カイは、叱られたことにショックを受けたようだった。あくる日、前日より大きなネズミを持って来て、またKの枕元に置いた。 Kの怒り心頭に、カイもたじろいだ。
その後には、食用ガエル、もぐら、うさぎと続いた。怒ったKは、手を振りあげたがカイの瞳を見て気づいた。カイは、非常に悲しそうだった。
「もしかして、お前は私に食べさせようと小ネズミを捕まえてきたのか?でも、小さくて気に入らなかったと思って、だんだんサイズの大きなものに変えていった。それでも、私の機嫌が悪いので、種類を変えていった。きっとそうなんだね。お前は、なんて賢い猫なんだろう。有難う。」
と、言いながら頭をなでた。カイは、満足そうにゴロゴロのどを鳴らした。あくる日Kは、雑誌を見せた。雑誌には、主人への恩返しに、小銭を拾ってくわえてくる外国の猫の話が書いてあった。
「カイお前ならできる!」
と、期待を寄せるKのうれしそうな顔がそこにあった。(やれやれ、猫にまで拝金主義を押し付ける気かね。)
【その8】人間のじゃまばかりする犬猫
Kは、毎日新聞を読もうと努力する。しかし、新聞を玄関に置いたとたん、口にくわえ走り去ろうとする小太郎。追いかけて奪い取る。引っ張り合い奪い取った新聞は、隅が破れボロボロ。読もうと開いたとたんに、ドーンと上に乗る猫カイ様。新聞を読むには、毎日エネルギーが必要なのだ。カイのお尻の下に書かれた記事は、想像するしかない。たまに結末が違ったりするが、そんなことには構っていられないのだ。何とか読めた満足感を得るしかないのだ。
パソコンを始めれば、キーボードの上を歩き回る猫カイ。キー入力が、私より速いのには感心するが、いただけない。やがてドーンとキーボードの上で大の字になるカイ様。日本の電化製品の質の高さには感心する。毎日このような状態でも、壊れないのだ。すごいではないか。
宅配の配達員が来れば、しっぽを振って喜ぶ小太郎。お歳暮時期はハムが届く。箱を開けたとたん目つきが変わる。しかし、口に入ることはない。Kがサッと素早く取り出し、ハムは冷蔵庫へ。からっぽの箱の中に入り、クンクン匂いを嗅ぐ小太郎。いたずら心が湧いたKは、段ボールのふたを閉め小太郎を閉じ込めて喜ぶ。隙間から出した大きな鼻。カイが見逃すはずはない。鼻にじゃれて遊ぶ。踏んだり蹴ったりとはこのことか。今年もドタバタで年が暮れる。やれやれ。(来年こそ優雅な老後を送りたいものだ。)
【その9】いびき
Kとその夫Oは、毎晩いびきに悩まされていた。我慢も限界に達した二人は、とうとう喧嘩を始めた。お互いに相手のいびきだと思っていたのである。しかし、喧嘩の最中に
「ガガガッー、グオッー、ゴー・・・・」
と、凄まじいいびきが、家中に響き渡った。
KとOは、お互いに顔を見合い、大声で笑いこけた。悩まされていたのは、実は小太郎のいびきだったのだ。小太郎は、シーズーという犬種の短頭犬なので、鼻筋がほとんどなく、顔のど真ん中に大きなボタンのような黒い鼻先が張り付いていた。それで、大きないびきが出るのである。いびきだけでなく、大きな大きな鼻から、鼻水も飛ばしていた。猫は、静かにスヤスヤと眠るが、それとは対照的な光景である。しかし、カイがいびきで眠れない時は、猫キックが炸裂する。小太郎の背中で爪も研ぎ始める。小太郎のいびきは止まるが、息も止まりそうになる。猫はいびき防止のプロフェッショナルなのである。旦那のいびきに悩まされる奥様に、猫を飼うことをお勧めする。それで、夫婦円満間違いなし。やれやれ(犬より猫を飼う人の方が多いのは、猫がいびき防止に役立つから。チコちゃんも知らないだろう。)
【その10】犬猫の英才教育
犬猫の教育の為に《もふもふ》という犬猫の特技を披露する番組を録画した。録画し毎日それを見せて家の犬猫にも、特技を得させようと試みたのだ。あわよくば、小太郎とカイのテレビ出演を目論んだのだ。もしかして、高額な出演ギャラが得られればと、夢はどんどんエスカレートしていく。
しかし、現実は甘くない。17年間も生きている小太郎は、お手すらできないのである。
「お手」
と、言って手を出そうものなら、ペロペロと舐められるはめになる。カイにお手と言ってもくじられるのが関の山。小太郎に棒を投げると、口に加えるが決して持っては来ない。ボールは噛み潰す。小太郎は、非常に賢い犬だが、不思議なことに他の犬が出来ることができない。
産まれてすぐに、猫と2匹きりにして部屋に閉じ込めて育てた。猫のようにニャーニャー鳴かせようと試みたのだ。だが、猫の声しか聞いたことがないはずなのに、初語は
「ワンワン」
だった。その後、猫と17年間も共に育てたのにワンしか言えない。何たることだ!猫のように戸すら開けられない。まあ、家は全自動ドアだから開ける必要もないが・・・。
かといって、犬のような行動も怪しい。電信柱におしっこをするが、足を挙げるより猫のようなポーズでおしっこをすることが多い。座らせれば、後ろ足をヒョイと横に投げ出す。両足を後ろにホイと放り出すことも多い。枕をして、腹を出して寝転がる。特技を身に着けることより、まずは犬らしさを身に着ける段階なのだ。天国に行くのが先か、犬らしくなるのが先か?Kが天国に行くのが先か、女性らしくなるのが先か?と同じなのだ。やれやれ(どっちも天国へ行くのが先だろうねえ。)
【その11】私も欲しい尻尾
猫のカイは、非常に長いきれいな尻尾をしている。背中の長さと同じくらいの、長いシッポが非常に役立つのである。餌が欲しい時もミルクが飲みたい時も、シッポをピンと上に伸ばし、Kを誘導していく。 Kは、シッポの先に各国の国旗を結べば面白いと想像しながら、猫の後に続く。シッポは時には武器になる。小太郎の頬をバーンと張り倒す。Kが撫でまわすのが気に入らないと、Kの手の甲をバンと打つ。猫じゃらしと調子を合わせて、シッポをリズミカルに左右に振るのはかわいいが、気に入らないと猫じゃらしを祓い落とすのにも使う。
犬の小太郎は、長毛種だがバリカンで丸坊主にされ、シッポも毛が無く、まるで豚のしっぽそっくりなのである。大きな犬を見た時は、しっぽを下げるのにKに命令する時は、猫のようにしっぽを高々と掲げるのだ。猫のモノマネだろう。だが、猫であろうが犬であろうが、シッポに従って着いていくのは、人間なのである。やれやれ(士農工商・いや猫犬人間なのだ。人間にもシッポが必要かも)
【その12】猫の爪とぎ
カイものら猫も爪とぎが大好き。家の柱で毎日毎日爪を研ぐ。柱がだんだん細くなる。りんごの芯のように変わり果てた頃、他の柱に移る。だんだんりんごの芯のような柱が増えていく。
それを眺めながら、Kは猫の頭を撫でまわす。そして
「上手に柱を削れたねえ。すごいぞ!。」
顔に満面の笑みを浮かべ、うれしそうにつぶやく。
「でも、もし地震が起きたら次々柱が倒れるなあ。猫が下敷きにならなきゃいいけど。」
と、心配をし始める。その目前で、また猫が爪を研ぎ始めた。Kも、自分の爪で柱を削り始めた。
「私の方が上手だろう。真似をしろ。」
と、猫に理想の爪とぎを教授する。Kには、やすりは必要ないのである。柱がどれもほっそりしたら、Kの夫Oの仕事が始まる。パテで細くなった柱を太くし、上に塗料を塗る。
「これで何回修復したのだろう。代々の猫が柱で爪とぎをしてきたからなあ。」
と嘆きながらも
「うちの猫達は皆、爪とぎがうまいなあ。」
と、感心するのである。柱はいいが、問題なのはズボンである。椅子に腰かけると、猫が来てひざに乗る。かわいい顔して甘えながら、爪を研ぐ。
「イタイ~」
と、飛び上がる。血が滲み出てくる。ズボンも傷だらけ。でも、膝の上でスリスリする猫の満足そうな顔を見ると嬉しくなるのである。猫好きにはたまらない、至福の一時なのである。やれやれ(猫っ可愛がりばかりしていると、お中元にネズミ・お歳暮にへびが届くぞ!)
【その13】小太郎の初恋
小太郎の犬種はシーズーなので、よく毛が伸びて散髪に連れて行く。飼い主は犬を見栄えよくしようと躍起になるが、犬は散髪をいやがるものだ。小太郎も散髪を嫌がった。連れて行く前は元気だが、散髪屋でひどくショックを受けたようで、うつ状態になった。
だが、ある日から率先して散髪屋に通うようになった。散髪屋の看板娘が気に入ったのである。その犬は桃子といい、スピッツの真っ白い犬だった。白い綿毛のような美しい毛をしているのに、ところどころに真赤なメッシュが入っている。それだけでも異様なのに、全ての爪をマニキュアで真っ赤に塗り、頭にはド派手なリボンが付いていた。まるで、リボンの騎士という漫画の主人公のようだ。さらにスケスケのピンクのネグリジェのようなガウンを肩出しであおり、色気ムンムンなのである。 Kは、桃子を見るなり、あまりの不気味さに思わず後ろに後ずさりした。が、小太郎は雷に当たったように一瞬動きが止まった後、猪突猛進で桃子めがけて突進していった。
だが、世の中うまくいかないものである。小太郎の前に大男が立ちはだかった。この店の店主である。
「このやろう!大事な桃子に近づくな!お前のような下賤な奴が近づけるような犬ではない。うちの桃子はなあ、上等な犬で大事な箱入り娘だ。」
と、大声で叫んだ。Kはムッとして
「小太郎その色気犬に近づくな!毒気に当たる。」
と、店主に負けない声で言い返した。
睨み合っているうちにKは、小太郎をこの店から買ったことを思い出した。
「小太郎はこの店で買ったのだが、その時店主は、小太郎をほめそやしていたではないか。人間でいえば男爵家のような高貴な産まれだと言ったぞ。その色気犬より高貴なはずだろ!」
「ああ、売ったのは覚えているがそんなことを言ったっけ。覚えているのは、その犬がバーゲン犬だったことだけだ。」
ここで急にKのトーンは落ちた。Mは、店主の『高貴な産まれの犬』という言葉より、『1万円割り引くバーゲン犬』という言葉にのみ反応して、小太郎を買ったのである。
その場は治まったが、来店の度に小太郎の恋心は燃え上がり、店主の妨害はエスカレートしていった。だが、ついに桃子の姿が見えなくなった。
「小太郎が来たからって、なにもわざわざ隠さなくても、せめて桃子の姿だけでも見せてやって欲しい。」
と、 Mは小太郎の為に嘆願した。店主は、涙をぬぐいながら
「桃子は、もういない。老衰で死んでしまったんだ。」
「老衰???・・・・・」
「もう少し長生きして欲しかったが、人間でいうと98歳で死んだんだ。100歳を越えさせたかったのに・・・」
桃子を必死に探す小太郎をしり目に、Mは大きく口を開けたままだった。やれやれ(恋に年の差なんてないというものの・・・。あのお色気犬が98歳とはねえ。驚き桃の木山椒の木。人間だって、先に年を聞かないと年齢不詳が多くなったね。気をつけようね。)
【その14】石頭
猫は、障害物にぶつからず器用に避けて通る。カイも狭いところでも器用にぶつからずに抜ける。しかし、小太郎の場合は違う。障害物など何のその。子犬の頃から猪突猛進。前に何があろうと走り出したら止まらない。頭を井戸の縁にぶつけても、平然としていた。まさに石頭とは、このような頭を言うのだなあと感心するやら、呆れるやら。猪突猛進して階段から落ちて、玄関のコンクリートに、頭をぶつけても平気。不死身なのだ。猛暑になるとベランダでカイと共に、甲羅干しをする。カイは熱中症を避ける為に適度なところで部屋に入る。しかし、小太郎は頭が熱くなるまでお日様に当てる。
「脳みそが熱で蒸発するぞ。」
と、脅かすと
「溶けるような脳みそは入っていない。」
と、 遠くから人声がする。まあ、その通りだ。電柱に頭をぶつけても平気なのだから、脳みその心配はなかろう。小太郎が立ち上がった。が、ふらつきながら、ベランダから落ちて庭石にゴツンと頭をぶつけた。が、しかし、ここでも石頭は健在だった。
「石頭は石頭でも、Oとは違う意味の石頭だねえ。」
うかつには言えないものである。いつの間にか背後にOが立っていた。やれやれ(壁に耳あり、障子に目あり。傍に亭主有りか)
そろそろ雪の山に頭をぶつけて遊ぶ時期になってきた。小太郎の大好きな雪遊びだ。やれやれ!(「雪で頭を冷やせ。」と言いたい。)
【その15】犬猫の正月
犬と猫にとっても正月は格別。だって普段もらえない御馳走が食べられるから。小太郎は大好きなロースハムを、カイは鰹節の塊を。それぞれ1年で1番満足のいく日である。世の中にはビール好きな犬がいて、ご主人と一緒に一杯やっている姿が放送されることがある。しかし、小太郎はビールは苦いので、舐めても嫌な顔しかしない。が、甘酒となると目の色が変わる。甘いもの好きな小太郎は、何杯でもいける。足元がフラフラしても、一向にかまわない。なにせ子分の人類が、2人もいて甲斐甲斐しく世話するのだから。後は寝正月と決め込む。まことに羨ましい限りである。ただし、お餅は食べさせてもらえない。お餅の大好きな小太郎は、のどを詰まらせ三途の川を、行ったり来たりした経験があるからだ。カイは、客用の一番高い座布団の上で、おめかしばかりしている。その姿が可愛すぎるので、kはTシャツにその姿を印刷し、ユニクロで販売し始めた。なぜか1枚も売れずにK自ら購入し、着るはめになった。ウーちゃんもお年始に顔を出した。御馳走を貰い満足そうだった。アーちゃんは全く顔出ししないので、アーちゃんの家まで探しにいったら、捕らわれの身となっていた。一歩も外に出られない状態に置かれていた。まあ考えてみれば、正月早々あだくそをして歩くよりは、家でおとなしくしていた方が世の中の為というもの。
Kの家の鏡餅は、年々小さくなる。当初は売られていた中から、1番大きい鏡餅を選んでデーンと飾っていた。しかし、Kは自分のお腹を眺めているようで、正月早々、気が滅入ってしまう。それで年々
鏡餅のみ小さくなったのである。成長発展を遂げるお腹と対照的である。
毎年犬猫が目にするKの姿がある。それは、初もうでに行きかう若い女性を見てショックを受けたKが、鏡を見て一心不乱に顔の皮を上に引っ張り上げる姿である。ひっぱった瞬間は、ピーンと張り若々しく変身するが、手を離した途端に頬はダラリと下がる。何度繰り返しても同じなのに、Kは頑張る。こんなに頑張る姿は、この時以外見られない。やがて目じりの皺も伸ばそうと、すったもんだする。だが、最後はファンデーションで穴埋めする行動に行き着くのだ。やれやれ(お正月、容姿に自信をなくした女性は、世の為人の為、後姿のみ見せましょう。鏡餅は小さく小さく・・・)
【その16】飼い主の趣味
飼い主のKは、粘菌の突然変異を研究している。ある日、小太郎がパクっと粘菌を食べてみた。ペペっとすぐに吐き出したが、猫も真似して舐めてみた。そして、何とも言えない顔をKに向けた。
「おやおや、粘菌は食べられる代物ではなさそうだね。新時代の食料にできるかという希望もあったのだが残念だ。結局、人工知能(AI)粘菌型コンピューターとして活用できるだけか。がっかりだな。」
と,残念そうにつぶやくと、何やら怪しげな液体を粘菌にかけ始めた。Kは、粘菌を突然変異させて、今より優れた新粘菌を生み出そうと試行錯誤して実験を繰り返していたのである。そんなこととは知らない犬猫は、かまってもらいたさにやたら目の前を行ったり来たり。猫撫で声で鳴いてみたり、スリスリしたり。粘菌とどっちが可愛いのだと言わんばかり。でも、粘菌に夢中なKはそんなことに無頓着。会話においても同年代が年金の話をしているのに、Kは粘菌の話を始める始末。ちぐはぐな会話が続くのである。Kの親友が
「どうして、そんな得体のしれないものに興味を持つの?」
と、尋ねたことがあった。するとKは
「粘菌は不思議な生き物で、微生物を摂食する動物的性質と胞子で繁殖する植物的性質を併せ持つ。しかも、脳を持たないのに集団行動するのよ。細かく切り刻んでも、切る以前の大きなときと同じ行動をする。でも、いつの間にか1つの大きな塊になり、1つのものとして行動するのよ。迷路学習では、優れた成績を出すけど、食べても美味しくないらしい。残念だわあ。」
と、さみしそうに言った。親友は
「Kが1番興味をもったのは、粘菌が美味しいかどうかでしょう。小太郎が食べたら、まずそうだったのね。」
と、笑った。やれやれ(自称美食家だが、単に食いしん坊なだけ。あの犬にして、この飼い主ありというところ。)
実はKは、ごく最近まで地中に含まれる金を吸い上げて茎に溜めこむヒョウタンゴケから、金を取り出す研究に夢中になっていたのだ。この時も粘菌の研究と同じことが起きた。小太郎がパクっと食べてペペっと吐き出したのだ。親友の言葉も同じだった。やれやれ
【その17】おでき
小太郎が、しっぽの付け根に大きな大きなできものをこしらえた。Kはかわいい小太郎の見栄えが、一層悪くなると大騒ぎ。また、カイに小さな小さなできものができたので、これまたKは大騒ぎ。なにせKの目には、カイは世界一の美猫に見えるのだから、顔のできものはショックなのだ。まるで、自分の顔に吹き出物ができたように大騒ぎして、すぐ医者に駆け込んだ。
小太郎のしっぽのできものは、メスで切り取られた。できものは、しっぽの付け根にでき、しかも根っこが張っていた。それを取り除いたので、しっぽを振るたびにやっと繋がっているしっぽは、ちぎれそうになった。何とかしっぽを振るのを止めさせようとしたが、手術後は飼い主が救いの神のように見えたのか、やたら愛想良くしっぽを振り続けた。しっぽを振るたびに、ちぎれてぶっ飛んでしまいはしないかハラハラするほどだった。
カイの施術前に、美容に響かないようにとKは真剣に医者に頼んだ。しかし、美容に気を配る余裕はなかった。なぜならカイは癌だったのだ。それも末期だった。医者からそれを聞いた時、Kは涙ぐみ絶望した。せめて残り少ない人生(いや、ニャン生)は、楽しく過ごさせようと毎日猫じゃらしで一緒に遊んだ。しかし、カイはやせ細っていくどころか、どんどんふっくらとしていった。何だか以前よりも
元気である。死ぬ前に一時期短期だが、元気になる時期があるそうなので、その時期かと思って、なお更泣けた。だが、いつまでたっても食欲は衰えず、体重は増え大きくなっていった。奇跡が起きたのだ。カイはネズミやテン、マムシなどの悪者をやっつけて、周囲の子供たちを守ってきた。それを神様が見ていて助けてくださったのだろう。
動物病院に行った時に待合室で、10歳ほど年上の老夫婦に出会った。その老夫婦の旦那さんの方が
「なんで、犬猫に金の出し惜しみをしないで、俺の散髪代をケチるのだ。犬猫に何万円も出すくせに、俺には1000円の散髪屋しか行かせない。それも髪が長く伸びるまで待たされてからだ。稼ぐのはいつも俺。使うのはいつもお前。いや、犬と猫。・・・」
と、つぶやいた。不幸なことにつぶやきがちょっと大きく、婆さん(いや奥様)に聞こえてしまった。婆さんの目つきは鋭く迫力があった。まさに眼飛ばしの名人である。その迫力には、だれでも身がすくむだろう。哀れ旦那さんの方はうつ向いてしまった。やれやれ(どこの家でも旦那さんよりペットが可愛いのか。うつ向いた旦那さん、来世は奥様のペットとして生まれなおすことをお勧めするよ。)
【その18】ホットドックになっちゃった!
Kは、すごく寒がりなのだ。電気毛布を最高温度にし、肌布団、毛布、羽毛布団をかけないと寒くて眠れない。勿論、小太郎やカイの寝床も同じセッティングだ。小太郎は、どんなに暑くても、息も絶え絶えの状態で、布団の中に納まっている。そして、限界に達するまで我慢すると、腹ばいでよたよたと布団から這い出して来る。Kは、
「小太郎!風邪ひくよ。」
と、心配そうに声かけすると、両足をぐいと引っ張り布団の中に押し込む。二度と這い出さないように布団にぐるぐる巻きにする。カイがその上にドーンと乗る。
「これで風邪引く心配なし。」
と、満足そうな笑みを浮かべる。これが何度も繰り返され、やがて朝がくる。小太郎は、体が熱くなり、ホットドッグになっちゃった。
カイは、涼し気な目で小太郎を眺めている。
「小太郎よ。私が元気なうちは、お前は風邪を引く心配がない。安心しろ。」
と、Kは力づよく言い放す。やれやれ(風邪を引かないように、孫に厚着させる婆さんの話は良く聞くが、 Kにとっては犬猫も孫のようなものなのだ。)
【その19】H5N1鳥インフルエンザ対策
Kは毎日猫の縫いぐるみや写真、置物など猫の姿を模したものを手当たり次第に集め始めた。窓には、猫の大型写真を貼り、前庭・中庭・裏庭全てに猫の置物を設置した。室内は猫の模様の敷物、クッション、縫いぐるみなどに溢れた。マッサージ機の上やベットの上には、大型の猫縫いぐるみ、来客は目を見張った。
「変わった家だ。」
と、思わず本音をもらす人もいた。だが、Kはそんなことはお構いなしにスリッパ、茶碗、箸置きに至るまで猫の模様付きの物を揃えた。パソコン2台にも猫マークがべったり。小太郎は、どこを見ても猫ばかりで面白くないのか、猫の縫いぐるみをくわえて振り回したり枕にした。カイを枕にして寝ればいいものを、怖くていつまでも、小太郎はカイの専用枕の地位に押しやられたままだった。ある日Mが残念そうにつぶやいた。
「これで、野鳥は猫を恐れて家には近づかないだろう。野鳥は猫を模した物でも嫌がるのだから。でも、ウイルスはそうはいかない。空気感染が怖いなあ。致死率60%、60%、60%・・・・。」
と、60%を念仏のように唱え始めた。
突然 Kは、パーンとひざを叩いた。アイデアがひらめいた時、ひざを叩くのがMのくせ。
「あっそうだ!昔読んだ記事の中に動物学者の残した研究の話があったなあ。確か猫が草を食べるのは毛玉を体外に出す為ではなく、もっと他の意味があるはずだ。残念だがこの博士は、研究半ばで亡くなられた。もしかしたら、この博士が研究完成後に言いたかったのは、
『猫がウイルスに強いのは、猫草を食べるからだ』
ということなのか!Kの顔はパッと輝いた。
しかし、その時から小太郎にとっては、悪夢の日々が始まった。猫草を口に押し込められ始めたのだ。
「どうしてお前は猫草を食べないの?鳥インフルエンザにかかりたいの?」
「死亡率60%だぞ!10人中6人死ぬという事だぞ!」
と、Kは目を吊り上げて、猫草を小太郎の口に押し込み始めた。だが、小太郎はその全てを吐き出した。しかたがないので、Kは、猫草の元となる燕麦(オートミール)にかえた。それでも小太郎が食べようとしないので、Kは燕麦のレシピを考案して、いろいろ作ってズラリと並べた。やがて、諦めた小太郎は少しづつ食べ始めた。
「H5N1鳥インフルエンザに勝つには、長期間燕麦を食べ続けるしかない。今から鳥インフ流行まで燕麦を食べ続ければ、お前は助かり長生きできるぞ。」
と励ましたが、小太郎はもう十分過ぎるほど長生きしている老犬だった。やれやれ。(Kも十分長生きした部類に入るが、長生きに固執するのは死ぬまで続く。)
【その20】新たな脅威
またまた、中国で新たなウイルスが騒がれ始めた。新型豚インフルエンザである。Kは、コロナ騒ぎでパニックに陥っていたのに、新たなウイルスの出現を聞いて全身青ざめた。Kは、来る日も来る日も掃除と消毒に明け暮れた。床はピカピカというより、ハゲてきた。中年のおっさんの頭のようである。目に見えないウイルスとの戦いである。予防が一番と思い、あらゆるところに消毒薬を振りまいた。玄関の戸は消毒薬で変質しそう。柱までハゲ。手はガサガサ。家中至る所、消毒薬の拭き残しで白くなっている。小太郎は、床がいつもぬれているので、滑って腹をしこたま床に打ち付けている。それを見たカイが、冷やかな目を小太郎に向ける。
外歩きの多いカイは、帰宅するとすぐ首をひょいとつままれ、お湯の中に入れられる。足の裏をゴシゴシこすられ真っ赤になる。
「ようし、これでウイルスはついていないだろう。」
と、お湯から出された時は、カイはもうヨレヨレ。疲れ果てている。
「さあ、どうしたものか。次々中国から新しいウイルスの知らせ。パンデミックが起きると思うとゆっくり寝てもいられない。」
と、ブツクサブツクサつぶやく。
「どんなウイルスが流行しても、自分だけは大丈夫。かからない。うちは避けて通るさ。」
と、のほほんと構えている友人は気楽で良い。
でも、Kは違った。益々ウイルスを警戒し、消毒薬の減り方が増していった。家もどんどん古びた形相になってきた。やれやれ。(この前、家中リフォームしたばかりだよね。)
【その21】開き直り
コロナの第二波が懸念される中、新しいニュースは北京で新型豚インフルエンザが確認されたというものだった。それを聞いたKは、しばらくうなだれていたが、やがて顔をあげ
「矢でも鉄砲でも持ってこい!。ウイルスなんか怖いものか。」
と、叫ぶとひっくり返ってしまった。
カイは、心配そうな顔をして、外に何やら探しに行った。やがて帰ってきたが、口にはネズミをくわえていた。それを見たKは
「ぎゃー。」
と叫ぶと、またひっくり返ってしまった。
「ウイルスなんか怖くは無いが、ネズミは・・・」
「ネズミを退治するのは、そのうち流行するハンタウイルスの時にしてくれ!」
と、泣きそうな顔で訴える。しかし、カイは善良な猫。やたら食べるようにすすめて、Kの傍にネズミを近づけてきた。Kの事を心配し、力づけようとするカイの気持ちが分かるだけに,Kの心中は複雑だった。やれやれ😥。(猫が落ち込んでいるとき、ショートケーキを差し出したのはKじゃなかったっけ。どっちもどっちだね)
【その22】ミクロからマクロの世界にワープ
気分転換に望遠鏡を取り出したKは、大空の星々を眺めた。昔からUFO探しを夢見て、大空を眺めていたMだった。もしUFOが惑星を背景に飛行している様子を見られたら、どんなに楽しいだろうと胸をワクワクさせて空を眺めていたものだ。目に見えない小さなウイルスを気にするより、ドーンと大きな惑星を気にした方が、スケールが大きくて気分が良かろうと思ったのである。しばらくレンズを覗き込んでいたKはハッとした。思わず目をこすった。
「なんだ!これは」
と、その大声に驚いて、足元に走って来た小太郎やカイ。
「ようし、二人とも見せてやるからな。」
というと、両手で小太郎とカイを抱きかかえ、望遠鏡のレンズを覗かせた。小太郎は、レンズをなめまわし、カイは猫パンチを食らわせた。
「ようく見てよ。これもしかしたら、今話題の惑星Xだよ。NASAのスピッツアー宇宙望遠鏡が天の川銀河内で発見した星だよ。OGLE2016BLG1190cbとして記録されたよ。木星の13倍の体積をもつ大きな星だよ。だんだん地球に接近してきているのだよ。」
と、星について犬猫相手に話しながら、Kは嬉しそうな笑みを浮かべた。
「3600年に一度しか地球に接近しない星が、レンズ越しだが間近に見られるのだ。こんな嬉しいことはない。肉眼で見られるほど、もっともっと近づくといいなあ。」
と、犬猫の手を取り喜んだ。やれやれ(喜んでいる場合か!質量の大きな星が近づくと、地球に甚大な被害を及ぼすよ。地球を破壊すると恐れる専門家もいるのだが、Kはお気楽なものだ。長生きしそう。)
【その23】史上最大級の惑星直列
いよいよ待ちに待った史上最大級の惑星直列の日が近づいてきた。500年に一度の天体ショー。太陽を中心に回る7つの惑星全てが、きれいに整然と並ぶ。7月4日を待ち望んでいたと言えば、アメリカ独立記念日と勘違いされそうだが、Kが待ち望んでいたのは、惑星直列のみ。惑星直列前夜から大騒ぎ。大はしゃぎ。カイと小太郎を膝に抱き、まだ空が明るいうちから眺めている。だが、ここ数日は日本中大雨。洪水の心配さえある日が続いている。雨が止んだと思えば、空一面どんよりとした厚い雲。お気楽なKは、
「きっと明日は晴れるよ。カイと小太郎に、惑星直列を見せてやるからな。楽しみにしてね。」
と、諦める様子は毛ほどもない。奇跡が起きると信じ切っているのだ。
「そうだ。てるてる坊主を吊るそう。」
と、Kは準備に取り掛かった。てるてる坊主の頭部分に入れる綿がなかったので
「ちょいと失敬するよ。」
と言うと、カイと小太郎の毛を引っ張った。
集めた毛で、てるてる坊主を仕上げると軒先につるした。見上げたカイと小太郎の目は、なぜか恨めし気だった。
「さあ、これで大丈夫。もし、明日見られなかったら、500年生き続けなければ見られんぞ。」
と、雨が降ってきた空をにらんだ。その目は、メドゥーサより迫力があった。やれやれ。にらんで天気が変わるものなら、気象庁は要らんだろ。(このところ頻繁に日本中で起きている地震。以前惑星が3つ並んだ時に大地震が起きたよね。明日は7つ並ぶのだよ。お気楽なMは、そんなことなど一向に気にしていない。)
【その24】小太郎のダイエット方法
カイは毎日続く豪雨の中を、なわばり全てを回り異常がないかを確認して来た。体からは雨水がしたたり落ち、ブルブル震えていた。慌てたKは、深夜2時にもかかわらず、ドライヤーを取り出し、カイの濡れた体を乾かし始めた。カイは、しきりに濡れた体をMに擦り付けた。カイの体が乾いた頃には、Kの体は濡れてすっかり冷え切っていた。Kは、ブルブル体を震わせ、くしゃみの連発。心配したカイは、ひざの上に乗って丸くなった。
「温かい。猫ってなんて温かいんだ。」
と、 Kは感動した。Kのお腹はグーンと前に出ているので、冷えやすい。でも、カイのお腹は温かい。
Kが喜んだので、カイはグーグーいびきをかいて寝ている小太郎の上に乗って温め始めた。小太郎は息も絶え絶えになった。顔の正面にドーンとあぐらをかいている大きい鼻をふさいだのである。小太郎が払いよけようとすると、とたんに猫パンチが炸裂した。小太郎はおとなしくなったのか、気絶したのか定かでない。
「まあ、どっちでもいいや。」
と、Kは寝床に入った。翌日もその翌日も大雨が続いた。深夜にもかかわらず同じことが続いた。小太郎の受難は雨が止むまで続く。
「気絶したのかな?まあ、いいや。小太郎も十分長生きしたよ。」
と、Kの態度にも変化はなかった。小太郎の体重を量ると減っていた。ダイエットに成功したのだ。毎夜のストレスで瘦せたようだ。
「小太郎良かったね。」
kの羨ましそうな声が響いた。やれやれ(ダイエットも大変だあ)
【その25】小太郎のおもちゃ
小太郎は、虎の縫いぐるみの口元に置かれた肉型のおもちゃに、非常に興味があった。しかし、虎の眼前に進み出ると、虎と目線が合い後ずさりする。やっとの思いで肉型おもちゃを手に入れ、ブルブル振り回して思う存分遊んだかと思うと、ちゃんと虎の眼前に返して走り去った。借りたものを返すという律儀さは生まれつきのものか?はたまた、猫のおもちゃを返さなかったばかりに、猫パンチでボコボコにされた経験からか?
ある日、カイに真新しい猫じゃらしが贈られた。毛の少ない安い猫じゃらしだと、1日でボロボロにして棒しか残らないので、猫の尻尾のようなふさふさとしたものだった。それをKは、うっかり虎の縫いぐるみの前に置いてしまった。さあ大変。小太郎が夢中で猫じゃらしに噛みついて遊んでいると、後ろからにじり寄るカイの姿があった。
「小太郎逃げろ!」
と、言うKの声が響いたが、時すでに遅し。鼻から血を流し、足を引きずる小太郎の哀れな姿が涙をさそった。
「猫じゃらしというのは、猫が遊ぶから付いた名前だ。今度犬じゃらしを買ってやるからな。」
と、Kは慰めたが、犬じゃらしというものを売っている店はない。しかたなく、Kは自作の犬じゃらしなるものを作り始めた。
「いたっ、いたた」
と、指を針で突いては悲鳴をあげた。Kは裁縫が苦手。やがて、形にならないまま、ポーンと投げやってしまった。
「やーめた。」
よく Kが口にする言葉である。しかたがないので、猫じゃらしと同じものを買い求めた。しかし、カイは2本共自分のものにした。
「猫にも所有欲があるのだなあ。カイは人間なら金持ちになるタイプだなあ。小太郎は搾取される側か。」
と、Kは感心したようにつぶやいた。やれやれ(犬猫の世界にまで資本主義を持ち込むつもりか。)
【その26】蚊取り線香
Kは、毎年蚊が出る頃になると、全ての部屋に電気蚊取り線香をつける。特に犬猫が蚊に刺されてはかわいそうだと思い、2台ずつ置く。
「さあ、これで蚊に刺される心配はない。足元と頭上の2か所に、真新しい電気蚊取り線香をつけたからね。買いたてだから途中で薬が切れる心配もない。コードがないから首に巻き付く心配もない。これで万全。さあ、ゆっくり寝ていい夢をごらん。」
と、嬉しそうな笑みを浮かべて囁いた。
ぐっすり寝込んだKが、苦しそうなうめき声で深夜に目覚めた。
「小太郎!どうした。持病が出たのか?胃腸が苦しいのか?」
と尋ねたが、ぐったりしていた。慌てたKは思いっ切り、小太郎の体を揺さぶった。
「しっかりしろ。今助けてやる。」
と言うと、今度はうちわであおり始めた。やがて小太郎は大きなつぶらな瞳を見開いた。どうやら、蚊取り線香の煙を吸い込み過ぎたようだ。鼻を蚊取り線香にくっつけたまま寝たようだ。小太郎は、匂いが大好き。どんな匂いでもクンクン嗅ぐ。きっと蚊取り線香の匂いも気に入ったのだろう。それに比べ猫は賢い。蚊取り線香からつかず離れず。
適当な距離を置いて寝る。だから、煙でむせることもない。蚊に刺されることもない。猫に感心しながら、Kも小太郎も疲れて深い眠りに落ちた。やれやれ😥(死因が蚊取り線香では、小太郎も浮かばれないよ。せめて、仏壇の線香ならば・・・)
【その27】感染予防
Kは、犬猫がコロナに感染しないかとても心配した。そこで、体を消毒液のついたタオルで丁寧に拭き、うがいの代わりに歯の隙間や舌まで磨いた。爪の間は勿論、肉球の間まで綿棒に消毒液をしみ込ませて拭いた。マスクは犬猫用に手作りの可愛い物をたくさん作った。しかし、犬猫は嫌がってすぐ取り外した。
「我が子でも、これほど手間暇かけたことはなかったなあ。」
と、 Kはブツブツつぶやいた。
それでも、万が一を考慮して人との接触を遮断した。家に訪ねてくるカイの恋人の猫まで消毒し、2メートルのソーシャルデスタンスをとらせた。小太郎はもてないので他の犬は訪ねて来ないが、その代わりとなっている縫いぐるみを消毒した。
ほっとしたKは、自分が手洗を忘れていたのに気づきじっと手を見た。ご飯粒が付いていた。
「しまった!おにぎり🍙を手づかみして食べてしまった。どうしよう。」
「もし、私が罹患して犬猫にうつしたらどうしよう。」
Kは、自分よりも犬猫の感染予防に神経質になっていたのである。やれやれ(犬猫をかわいがるのもほどほどに)
【その28】小太郎の興味
小太郎が、テレビをじっと見据えて動かなくなった。
「お前何の番組を観ているんだい?」
と、Kが覗き込んだ。
「国会中継じゃないか!驚き!小太郎お前政治に関心があるのか。すごいなあ、賢いやつだ。」
と、Kは顔に笑みを浮かべながら、小太郎の聡明さをたたえた。
今までは料理番組しか興味を示さない小太郎が、どうしたことかKですら興味を持たない国会中継に、夢中になり始めたのだ。Kは、小太郎の額に手を当ててみた。
「熱もなさそうだし、いったい何が原因だろう。不思議だ。変だよお前。」
やがて、Kは小太郎が体格の良すぎる議員のみに身を乗り出していることに気づいた。
「そういえば小太郎お前、料理番組で鶏の丸焼きを観た後に、相撲取りを観て舌なめずりしてたよなあ。」
「まさかお前・・・」
小太郎は、議員を観ながら、たらたらとよだれをたらし始めた。やれやれ(煮ても焼いても食わりゃせんわ)
【その29】猫じゃらし
カイは、猫じゃらしが大好き。必ず決まった時間に猫じゃらしを振るようにKに要求する。カイの飽きるまでKは猫じゃらしを振り続ける。手がだるくなっても続く。カイは猫じゃらしが得意なので、すぐ毛をむしり取り、棒だけにしてしまう。そこで、Kは百均に出かけ、猫じゃらしを買い求めるのが日課となった。ある日、Kはふさふさの大きな掃除用具を目にした。
「おお!まさにこれぞ理想の猫じゃらしだ。」
と、喜んで帰宅した。カイもその大きさに驚いたのか飛び上がった。
掃除用具とカイの格闘はすさまじかった。部屋中あっという間に毛だらけになった。やはり、後に残ったのは、棒だけだった。やれやれ(最初から棒を振ってはどうかな?)
【その30】もうかなわん
カイは Kが新聞を開くとすぐ上に乗り、読む邪魔をする。本を開けば、どっしりとその上に乗り動こうとしない。パソコンを入力しようとすれば、カイが先にキーボードを押し始める。戸を閉めれば開く。が、開けても閉めない。カーテンを開こうとすれば、カーテンに爪を立ててしがみつく。椅子に座ろうとすれば、先に座る。もちろん、どかない。トイレットペーパーを引っ張り、トイレは紙の海。テントを張れば、真っ先に入り陣取り。タンスを開ければ潜り込む。下駄箱を開けてブーツの横にすまして並ぶ。石灯籠の上に鎮座ます。松の木の頂上まで、爪を立てて駆け上る。塀の穴から顔を出し、人を驚かす。えさの上に鰹節をのせないとニャーニャー抗議する。暑いのにスリスリして、べったりくっつく。Kには、カイの毛がべったりくっつく。
「ああ!もう、かなわん。お手上げ。」
これに、よその猫も加わる。カイはもてるのだ。やれやれ(カイをよその家に出張させてはどうかな)
【その31】石灯籠
庭石の上は、代々猫たちの日向ぼっこの場所となっていた。Kは、石灯籠の1番上の石をどかして、猫の形の置物を置いた。庭石の上の猫が、さみしくないようにという配慮である。Kは猫のためなら、ありとあらゆる配慮をするのである。Kは、石灯籠の天辺の石を捨てず、利用することを思いついた。なんと漬物石にしたのである。これが丁度いい重さで、漬物がうまくつかるのである。
猫が小鳥をくわえて庭石に乗った。そこで、早速Kは鳥の置物を石灯籠の上に付け足した。庭石の付近の木々は、猫の目線で見たときに邪魔になるものはバッサリ切られた。庭の美観よりも、猫の視線を配慮したのである。いや、配慮したというより、今時流行の忖度したというべきか・・・。
前庭には、猫が寂しくないように、いろいろな動物の形の置物が増えていった。やがて、カイはお友達を連れてくるようになった。お友達も置物を珍しそうに見て回った。Kは嬉しそうにそれを眺めた。
小太郎も猫たちを見て、ベランダに姿を現した。それで、Kは小太郎を庭石の上に乗せてやった。小太郎は、石の下の方を眺めるとブルブル震えだした。どうやら犬は高所恐怖症のようである。ブルブル震える小太郎を尻目に、カイは庭石の上をピョンピョン飛び回った。まことに軽やかでリズミカルである。しかし、小太郎はいつまでたってもブルブル震え、貧乏ゆすりをする爺さんのようだった。やれやれ(石灯籠の石の使い方もユニークだが、猫ばかり配慮するのはどうしたものか。たまには、ご主人にも配慮してみては・・・)
【その32】仁義を重んじる野良猫
野良猫が、時々顔を出した。台所の前のガラス戸の前に、きちんと座してKの顔を見入った。つぶらな瞳がKを真剣に見つめる。真剣に見つめられた経験が他にないKは、ドキッとして顔を赤らめた。野良猫は、ガラス戸が開いているにもかかわらず、決して室内に入ろうとしなかった。行儀よく出入り口で待つ。Kは、2つのお重を並べる。片方には、山盛りのえさ、もう一方には前日残ったえさ。野良猫は、先ず残飯の入ったお重から口をつけた。一粒残らず食べた後、山盛りのお重に口をつけた。食べるときは、決して室内に体を入れることはなかった。お重まで、ぐっと首を伸ばしパクつく。前足すら室内に入れたことはない。
「お前」よく首が伸びるなあ。すごい。」
と、言いながらKは感心した。ある日ふとKは、野良猫の首がどれだけ伸びるか試してみたくなった。そして、少しずつ野良猫とお重の距離を離していった。ある距離まで離すと野良猫は急に悲しそうな顔をKに向けた。Kはうろたえて
「ごめん。ごめん。悪気はなかったんだ。ちょっと試してみたい気分になっただけだよ。」
と、わびた。それ以来、Kの野良猫に対する待遇はグレードアップした。お重のえさの上には、鰹節が振りかけられ、ミルクが横に追加された。
そうこうするうちに月日が流れた。最近の野良猫は、ベランダにきちんとお座りすることもなく、平然と台所に押し入り、台の上に上り山盛りのお重から食べていく。痩せこけていた体もどっしりとした相撲取りのような体形に変わっていた。
「ドスン」
と、大きな音を立てて台から飛び降りる。そして、ゆうゆうと去っていく。まるで、別人のようだ。カイも遠慮がちに野良猫の食事が終わるのを待つようになった。やれやれ(人も変わるが、猫も月日が経てば変わるものだなあ。)
【その33】世界猫の日
8月8日は、世界猫の日である。Kは前日より大騒ぎ。何とかカイを世界一の美猫にしようと、カイの毛皮のお手入れ。爪を磨き、歯を白くしようと繭玉でごしごしこする。ミスユニバース日本代表の猫を目指したのである。もともとカイは美しく生まれた。両親も美猫だった。また、体つきも小さく、そのことが可愛らしさをより強調した。猫じゃらしで毎日1時間ほど運動しているので、スタイルもほっそりしてかっこいい。飼い主がブクブク太るのと正反対である。
「うちの猫は世界一」
と、言ってうなずく。爪にマニキュア。スケスケのドレス。リボンの騎士のようなリボン・・・
どんどんエスカレートしていく。やがて、小太郎がじっとなつかしそうに見入る。
「そうか小太郎よ。お前は、散髪屋の看板娘桃子ちゃんを思い出したんだね。」
「桃子は大年寄りだが、カイはヤングだよ。」
と、若さを強調。やれやれ(飼い主というものは、自分の家の猫が1番いいと思いたがるものだ。8月8日は世界中で、飼い主の猫自慢の日のようだ。)
【その34】免疫力を高める
Kは、一日中割りばしを横にして口に加え続けた。カイが割りばしの端に触ろうと躍起になった。小太郎はいつまで待っても、割りばしを小枝のように投げて遊んでくれないので、すっかりむくれてしまった。 それを見たOは、
「また美容の為にそんなことをやっているのか?昨日までは、一心不乱にローラーを顔の上で転がしていたなあ。割りばしもお肌の為にいいのか?しわのばしかな?」
と、半分からかいながらたずねた。Kは真剣な顔で
「割りばしを横にくわえると、口角が上がり笑顔のような効果がある。つまり、免疫力を高めるのよ。だって私、昨今世界中で流行している13種類もの感染症に罹りたくないもの。どれも高い死亡率なのよ。有効な治療方法もまだないし。美人薄命っていうけれど、まだまだ生きていたいわ。」
というと、また割りばしに蜂蜜をごってり塗り始めた。
「割りばしって、噛んでいても味気ないし、蜂蜜でも塗らないと長く続かないわ。」
やれやれ(Kはいつ天国へ行ってもいい歳。美人薄命とは程遠い。割りばしをくわえることが、免疫力を高めるというのは医学的に正しい。しかし、蜂蜜をごってりぬったのでは、また太るばかり。デブは短命だぞ。)
【その35】地震から犬猫を守るぞ!
Kは、朝から落ち着かない。巨大地震が起きる前に全国2000もある活断層帯で、大地震が起きる可能性があると専門家が指摘したからだ。つまり、日本中どこにいても地震被害にあう可能性大ということだ。今台風シーズンまっさかり。12号13号と迫りくる。Kは
「ごく近くに活断層帯があるが、台風通過後に大地震が起きるかもしれない。いざというときの為に真剣に避難訓練するぞ。」
と、小太郎とカイに向かって興奮ぎみに言った。
「さあ、西高東低の気圧配置。いよいよか!」
と、言うとリュックに犬猫の日用品や餌を詰め込み始めた。
「どのような状況になろうとも、お前たちだけにはひもじい思いはさせないから、安心してね。」
というと、人間用に用意した食品をすべて出した。
「さあ、これで何とか背中に担げそうな重さになった。」
猫と犬を携帯用サークルに入れ、両手に持つとリュックを背負い玄関に向けて突進した。
が、こけた。
「おお、いた、いたい。」
と、顔をしかめて泣き出しそうな顔になった。
カイと小太郎もしこたま体をぶつけ、辛そうだった。
やれやれ。(災難なんてどこにあるか分かったもんじゃない。犬猫もとんだ巻き添えで災難。)
【その36】ユーチューバーの標的
なんと!Kが、ユーチューバーを目指し始めた。
「ああ、あの年齢で、あのセンスで・・・」
図々しくもユーチューバーを夢見る。
そして、何をその題材にするか考えたときに、Kの顔には笑みが浮かんだ。
Kが笑みを浮かべるときは、ろくなことを考えていない。
小太郎とカイは、経験上それを知っていたのか、部屋からソソクサと逃げ出した。
しかし、すでに遅し。しっかりしっぽを押さえられていた。
「さあ!お前たち、私のユーチューバーの題材におなり」
ついに、その日から小太郎とカイは、Kに追い回されるはめになった。
Kは、犬と猫が出てくるユーチューブを特に好んで観ていたのである。その都度
「私の犬猫の方が、ずっとかわいいのに。」
と、ぶつくさつぶやくのが常だった。
標的となった小太郎とカイは、たまったもんじゃない。ひつこく追い回される日々が続いた。
しかも、さまざまなポーズを要求させられた。90歳を超える小太郎は、青息吐息。でも、ダイエットに成功して良かったみたい!やれやれ。(誰かKをユーチューバーの標的にして、ダイエットに協力してやっておくれ)
【その37】ユウチューブ撮影秘話
ついに「いじめに立ち向かった物語」や「スマホでVR体験をする犬」「犬の癌を克服させようとする飼い主と猫の愛情物語」というタイトルのユウチューブ3作品が世界公開された。3作品目になると、小太郎もカイも撮影に慣れて、カメラ目線になった。カメラ目線になると、目が大きく見え普段より、可愛く見えるのが不思議である。
「うちの犬ってこんなに可愛かったんだ。」
と、つぶやいたKは誇らしげである。普段ご近所のコリー犬や柴犬の鼻筋の通った美しい顔に少し気後れしていたのだが、胸を張って小太郎を連れ、散歩してみた。有名俳優のように取材陣に取り囲まれる様子を頭に思い描き、にやにやする。Kのにやけた顔は、マスクに隠れているからいいものの、マスクがなければ怪しい人にしか見えない。Kはマウスシールドは好まない。ほとんど顔全体が覆われて隠せる特大マスクが好きなのだ。なぜなら小太郎と同じ。愛嬌はあるが、決して美しいとは言えないからだ。撮影時以外は、小太郎にもマスクをさせればいいとKは思いついた。我ながら良いアイデアだと自己満足。心を込めて小太郎サイズのマスクを手作りした。付けさせたら、すっぽり顔が覆われてしまったが、Kは大満足。小太郎は息苦しさでもがき続ける。そんなことにはおかまいなしに、スマホ片手に撮影であちこち回るようになった。家にこもって体重が増えた分、動き回れば減るはずだが、現実はそうはならなかった。動き回る分お腹がすいて、もりもり食べるのである。やれやれ(冬になり寒さが厳しくなると、太っていた方が暖かくていいよ。極寒対策となっていいね)
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