👻 お化けシリーズ 第12話
『消えた帰り道』
夏祭りの夜。
灯りがともる屋台と、にぎやかな人混みの中、少女ナナは家族とはぐれてしまった。
「ちょっとトイレ行ってくる」──そう言って別れたあと、戻った場所にはもう誰もいなかった。
焦って探すも、知っているはずの道が、何だかどこか少しずつ違うように思えた。。
いつも通るはずの神社の鳥居もなく、見慣れた店の看板も消えていた。
ナナはどこか脇道へ迷い込んでしまったのだ。ナナは心細くなり泣きたくなった。
けれど、気がつくと道の奥に一本だけ灯る提灯が見えた。
走って近づいてみると、そこにいたのは白い浴衣を着た小さな男の子だった。
「こっちだよ」
彼はそう言って、静かに歩き始めた。
道は狭く、左右には竹やぶが生い茂り、空はやけに暗かった。
何だか急に怖くなった。
「どこへ行くの?」とナナがたずねると、彼は振り返らずに答えた。
「君が行きたい場所に帰れる道。君が忘れてた道」
その言葉に、ナナははっとした。
彼が案内したその道は、昔、小さい頃に通った裏山のけもの道だった。それにこの男の子は、昔よく裏山で出会った子だった。
今では使われなくなった、でもたしかに知っている“帰り道”。
「ありがとう」と言おうとしたその瞬間、男の子の姿はいつの間にか消えていた。
そしてナナの目の前には、家の近くの通学路が広がっていた。
翌日、祖母に話すと、祖母は優しくうなずいて言った。
「それはきっと、“道の精”やね。道が迷った子を元の場所に返してくれる存在や。
でもね、その道が“消えてしまう前”に出会えてよかったね。おばあちゃんも昔道に迷った時助けてもらったことがあったのよ。」
あの少年に会いたくなって獣道を探したが、あのけもの道はもう雑草に埋もれて見つけられなかった。
でもナナは、今でもお祭りの夜になると、ふと灯る提灯が見える気がするのだ。
それはきっと、どこかでまだ誰かが“帰り道”を探している証──CHATGPT作成

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